タイ・シリキット王太后が崩御されました。93歳でした。

シリキット王妃（Queen Sirikit、1932年生）は、タイ国王ラーマ9世（プミポン・アドゥンヤデート）の王妃として長年国民に深く愛されてきました。
彼女には多くの感動的・象徴的なエピソードがあります。
その中でも特に有名なものをいくつか紹介します。
🌾 1. 農村支援と「タイ絹」の復興
シリキット王妃は、地方の貧困解消に非常に熱心でした。
とくに有名なのが、タイシルク産業の復興です。
王妃は、タイの農村で女性たちが手織りの布を作る伝統を守り、収入を得られるよう支援しました。
これが「SUPPORT財団（The Foundation for the Promotion of Supplementary Occupations and Related Techniques）」設立につながり、タイ絹ブランド「ジム・トンプソン」と並んで世界的に評価を高めることになりました。
🩵 王妃は「美しい布は、タイの心を織り込んだもの」と語り、手仕事を尊重しました。
🕊️ 2. 国王の看病と「タイの母」と呼ばれた存在
1950年代、プミポン国王がスイスで交通事故に遭った際、シリキット王妃は献身的に看病し、以後も国王を公私にわたって支え続けました。
その姿から、国民は彼女を「国の母（メー・ルアン・ハー）」と呼ぶようになりました。8月12日の王妃の誕生日は、タイでは「母の日（Mother’s Day）」として祝われています。
🎨 3. 芸術と文化の守護者
王妃は、タイ舞踊・音楽・工芸など、伝統文化の保存にも尽力しました。
特に、民族衣装の再興は有名です。
彼女がデザインした「タイの伝統衣装（チュット・タイ）」は、現代でも公式行事や結婚式などで広く着用されています。
🪶 4. 南部イスラム地域での和解活動
タイ南部ではイスラム系住民との緊張が続いていましたが、王妃は現地を何度も訪問し、病院や学校を設立するなどして、宗教や民族の違いを超えた融和を訴えました。
その姿勢は今も「国をつなぐ母」として尊敬されています。
🐘 5. 動物愛護・自然保護への熱意
王妃は自然と動物を深く愛し、野生動物保護活動にも力を入れました。
「シリキット植物園」「シリキット王妃自然史博物館」など、彼女の名を冠した環境保護関連施設が全国に多数あります。